トップ株 入門チャートに強くなろう第7回 テクニカル編 2 移動平均乖離率の使い方
第7回 テクニカル編 2 移動平均乖離率の使い方
株価の移動平均線を使ったテクニカル分析として現在広く一般に多用されている、「移動平均乖離(かいり)率」の使い方について解説します。
株価の買われすぎや売られすぎを判断するのが「移動平均乖離率」
「移動平均乖離率」とは、株価が「移動平均線」に対してどれくらい離れているか(乖離しているか)を見る指標です。
株価が「移動平均線」の上側にある場合は、“株価が「移動平均線」から何%上方に乖離すると投資家がその株は割高だと判断して売るのか”という、「移動平均線」との乖離率をチェックして、「いつ売るか」の投資判断の材料とします。
逆に株価が「移動平均線」の下側にある場合には、“株価が「移動平均線」から何%下方に乖離すれば、投資家がこの株は割安だと考えて買いを入れるのか”という、「移動平均線」との乖離率をチェックすることで、“いつ買うか”の投資判断材料とするのです。
「移動平均線」自体は、通常、株価が「移動平均線」に近づいたり、くっついた時にどうするか、という方法で利用する場合が多いのですが、移動平均乖離率は株価が「移動平均線」から大きく離れたときにどうするか、という方法で使うためのものです。
乖離率を見る時には、日足の場合には計算日数が25日の「移動平均線」を、週足の場合は26週の「移動平均線」を使用することが一般的です。
これによって株価が「移動平均線」とくっついても離れても、「移動平均線」を投資判断の材料として使えるようになるのです。
また、チャートを見る時には全てに共通することですが、今日、明日という短期の方向性を判断する場合には日足チャートの「移動平均線」を使い、トレンドを見る場合には週足チャートの「移動平均線」を使います。
過去のチャートから、過去の傾向を必ずチェックしよう。
まずはこちらのチャートをご覧ください。
このチャートは東証1部銘柄の2005年6月から12月までの日足チャートです。
このチャートの移動平均乖離率からわかることは、株価と移動平均線との差が上下5%離れると売買のタイミングとして利用できたということです。
25日「移動平均線」(多くの人々が使っている指標ですので、ここでも25日の「移動平均線」を使います)を見ると、5%以上下方に離れた時には、株価が一旦底を打って上昇に転じています。また、5%以上上方に離れた時には、株価が一旦天井をつけて下落に転じています。
つまり、この銘柄の場合には「株価が25日で計算した移動平均線から5%前後下側に乖離すると株価が上昇に転じる確率が高い」と判断でき、また「株価が25日で計算した移動平均線から5%前後上側に乖離すると株価が下落に転じる確率が高い」と判断できると思います。この株価の習性を知っている投資家は、知らない投資家に比べて売買タイミングを捉えやすく、勝つ確率を上げることが出来たと思われます。
また、反転する可能性が高い乖離率は銘柄ごとに違うので、過去どのくらいの乖離率で反転しているのかをチェックすることが非常に重要です。
移動平均線乖離率を過信しない
移動平均乖離率を使う根拠となるのは、「株は上がり過ぎれば下がり、下がりすぎれば上がる」という考え方に基づいています。このため、上がり過ぎたり、下がり過ぎたりする理由によっては、過去のデータ以上に大きく乖離することがあるので注意が必要です。
一般的に乖離率がプラス10%以上になると天井で、マイナス10%以下になると底と判断することが多いのですが、個別の材料や人気の度合いによっては異常に乖離することもあり、売買のタイミングとして機能しなくなることがあります。
過去の経験則で過熱ゾーンと言われる25日移動平均線から10%以上乖離した水準から人気がさらに膨らんで、その後も株価の上昇は止まらずに、25日移動平均乖離率は最大で85.85%まで上昇しています。
つまり、人気化して過熱しすぎた相場状況では過去の乖離率で判断することが非常に危険であるため、移動平均乖離率だけを過信することは避けたほうがよいといえます。
逆の見方をすれば、過去の経験則から判断つかないような乖離率になっているのであれば、その銘柄が投機の対象となっている可能性がありますので注意が必要といえます。
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