トップ株 入門チャートに強くなろう第2回 基礎編 2 ローソク足で見る相場のサイン
第2回 基礎編 2 ローソク足で見る相場のサイン
前回の「ローソク足の見方」で基本的なローソク足からわかる「投資家の心理」を解説しました。第2回目ではそのローソク足でわかる投資家の心理を見ながら、相場のサインを分析、解説していきます。
特に長い下ヒゲ、長い上ヒゲが出たときのチャートや、「保ち合い」(株価が上昇した後や下落した後に動かなくなること)相場時の投資家心理を解説していきます。
大幅な下落時に下ヒゲの長いローソク足が出た時は、その後上昇する可能性が高い
株価が大幅に下落しているときに下ヒゲが長いローソク足が出た時は、投資家が「そろそろ下げ止まったので大丈夫」と判断して買い始め、株価の下落が終わって上昇に転じているために出る形です。
下のチャートは実際に「長い下ヒゲ」の出ているチャートです。
この例では胴体の部分が黒くなっているので陰線のローソク足です。この形は寄り付いたその日の高値から大きく下落して、その後押し目買いが入り「寄り付きの手前」の高値で終わったローソク足となります。
「大きく下がりそうだから早く売ろう」という心理状況にある投資家の売りが出尽くした後に、「下がりきったから大丈夫」という心理状況になった投資家が買い始めることで上昇に転じ始めるのがこのローソク足の心理の推移です。
つまりローソク足は、「投資家の心理」の変化と考えることも出来ます。
このように大きく下落を続けた後に、底値で「下ヒゲの長いローソク足」が出た場合は「底打ち完了」という状態になっている可能性が高くなります。
大幅な上昇時に上ヒゲの長いローソク足が出た時は、その後下落する可能性が高い
先ほどは下ひげでしたが、それでは、「上ヒゲの長いローソク足」が出た時とはどのような投資家心理なのでしょうか。
投資家が「株価はもっと上昇する」と考え、どんどん上値を買ったが、さらにその上値を買う投資家がいなくなり、上昇が止まってしまったために、今度は投資家が慌てて売りに転じたことで、最初の上昇値近辺まで株価が下がったことを意味しています。
下のチャートは実際に「長い上ヒゲ」の出ているチャートです。
実際、高値で「上ヒゲの長いローソク足」が出た場合には、目先の投資家心理の弱気を示す事が多いため、「相場が終わるかもしれない」という多くの投資家心理が働き、これから下落する確率が高くなります。
つまり、今回の相場では投資家が「この程度の上昇が妥当」と思う価格まで上昇すると、買いたい投資家よりも売りたい投資家の圧力の方が多くなり、株価は必然的に大きく下落して本格調整入りするのです。
また、株価が上昇中において「ここが天井だ」と判断する助けとなるのは、「出来高が急増し株価も急上昇したとき」です。 この場合は出来高が示しているとおり、多くの投資家が買いに走っているため、買いたいと考えていた投資家はすべて買っている状態になります。
つまり、次に買う投資家がいないことになります。
このような時に「上ヒゲの長いローソク足」が出ると「株を買い持ちしていれば売り」「購入を考えていたなら見送り」という有力な判断材料になるのです。
「保ち合い」(もちあい)とは?
「保ち合い」とは株価の上昇・下落の後に一定の値幅の中で動いている状況を言います。週足では約1ヶ月半程度続くと「保ち合い」といわれています。
右は「保ち合い」のチャートです。
この「保ち合い」は、株価に対して投資家の考え方が真っ二つに割れている状況です。「株価はもっと上昇する」と考えている人と、「株価はそろそろ下落する」と考えている人がほぼ同数いると考えられるからです。
上昇相場での「保ち合い」の時は買い、下落相場での「保ち合い」の時は売り
一般的に、格言があるように「保ち合いは売り」と言われていますが、実は上昇相場と下降相場の時とでは意味が違います。「上昇相場では買い」「下降相場では売り」となる確率が高いからです。
「上昇相場での保ち合いは買い」の理由は、売り手が利益を確定しようとして売っていても、買い手が「今後株価はもっと上昇する」と思って買っているからです。つまり売り手が消極的で買い手が積極的なため利益の確定売りが終わったときに積極的な買い手が勝って上昇する確率が高いことになります。
逆に「下降相場での保ち合いは売り」の理由ですが、下落中の株価が再び上昇するのではと思っている参加者が買いを入れ続けている間だけ、「今後株価はもっと下落する」と思っている参加者や「下落しそうだから早く処分してしまえ」という多数の参加者の売りを吸収して株価は拮抗することになります。
しかし、いくら買っても株価が上昇しないと、「これは一相場終わったのではないか」と考えるようになり、売り物が増加し始めるので、買いたい人よりも売りたい人が優勢になって下落が始まるわけです。
通常、株価が下落して止まると「1/3戻し」と言って、下げ幅の3分の1ほどリバウンド(上昇)することが多いのですが、下降相場で止まった後に上昇に転じないということは“そろそろ反転上昇するのではないか”と思う人よりも“さらに下落する前に売っておこう”と思う人のほうが多いということになります。
以上「保ち合い」時のサインですが、一つ注意することがあります。
ゆるやかな上昇やゆるやかな下落の場合にはこの法則は当てはまりません。
誰もが「上がり過ぎ」・「急落し過ぎ」と思う時に初めて前述のような投資家心理が生まれます。つまり、「急騰」「急落」の場合にだけ前述のような“保ち合い”の法則が生きるのです。
また、上昇相場であっても下降相場であっても「保ち合いが多く発生した場所」が次の相場の「上昇した時の上値抵抗ライン」に、また「下落した時の下値抵抗ライン」になることも付け加えておきます。
■相場と保ち合いのイメージ
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