トップ株 入門チャートに強くなろう第9回 テクニカル編 4 RCIの使い方
第9回 テクニカル編 4 RCIの使い方
RCIは、相場の過熱感を測り、現在の株価が割安か割高かを判断するときに使われる代表的なテクニカル指標のひとつです。では、その使い方について解説いたします。
RCIは一定期間の株価に上昇順位をつけて、相関関係を指数化したもの
RCIはRank Correlation Indexの略で、日本語に訳すと「順位相関指数」と呼ばれています。RCIは、日付と価格それぞれに順位をつけて両者にどれだけの相関関係があるのかを指標化しています。通常のRCIは、−100%から100%の範囲で計算されることが多いのですが、新ケンミレでは他の指数との比較をしやすいように0%から100%に修正して計算しています。
つまり指標が上昇して高値水準にいれば、割高、20%以下の安値水準に指標がいれば割安と見る、過熱感を計る為の他のテクニカル指標と見方は変わりません。
【上級者向け】
(同じ日数で計算された一般的なRCI)=(新ケンミレのRCI)×2−100%
計算方法は興味のある上級者の方だけご覧下さい。
RCIの計算方法
基準にする期間の日付をさかのぼって順位をつける
その期間の終値の高い順に順位をつける
日付ごとに「日付の順位」と「終値の順位」の差を二乗する
「日付の順位」と「終値の順位」の差を二乗したものを合計して、以下の計算式のdに代入する
RCI=[1−6×d÷(期間日数×(期間日数の2乗−1))]×100(%)
RCIの複雑な計算式まで覚える必要はないと思われますが、RCIがどのような意味を持っているかを理解しておくことは必要です。
計算式からわかることは株価の変動率はあまり関係なく、現在の株価が過去においてどの水準にいるかがポイントになります。
【上級者向け】
RCIの具体的な変化を見てみましょう。
簡単に過去5日のデータで比較した場合、1円でも上昇すればRCIの数値は上がっていきますので、1円づつ5日連続で上昇して5円上がった場合と、5日の内4日間1円下落して最後の1日で9円上がった場合(期間内の上昇幅は同じ)とを比較してみます。
このように、株価が連続して上昇するとRCIの数値は高くなり、逆に連続して下落するとRCIの数値は低くなります。また、株価の変動率はそれほど影響しませんので、連続して下落したあとに一日急騰しただけではRCIではそれほど過熱しません。
RCIの数値は、計算期間の株価が一日も下がらないで上昇し続けると+100%になり、逆に計算期間の株価が一日も上がらないで下降し続けると−100%(新ケンミレでは0%)になります。また、計算期間内の株価の順位で計算しますので、上昇率は計算に加味されません。
したがって、急騰、急落する局面ではタイミングが取りにくい指標とも考えられます。
RCIを実践に役立てよう
では、RCIの性格を理解した上で実践に役立てましょう。
s前述の通り、RCIは連続して上昇、下落を続けている場合には、タイミングを取りにくい指標と考えることができます。
以下のチャートをご覧ください。
このチャートは日経平均の2001年5月から10月にかけての値動きを表しています。トレンドが完全な右肩下がりとなっているのが特徴的です。
RCIは一般的な9日で表示していますが、8月から9月にかけて日経平均が続落する場面でRCIの数値が低水準で横ばいとなっているのがわかります。
この場面では常に割安な状況が続くため、RCIをもとに買いタイミングを判断することが難しかったといえます。
続いて、以下のチャートをご覧ください。
このチャートは日経平均の2003年5月から10月にかけての値動きを表しています。前回とは全く逆の右肩上がりの上昇トレンドです。
前回と同じくRCIは一般的な9日で表示していますが、RCIが売買のタイミングとして有効に機能しているのがわかります。
ただし、5月中旬から6月下旬にかけての緩やかな続伸場面では、RCIは高水準で横ばいとなっていて、売りのタイミングとしては機能していないといえます。
つまり、RCIは逆張り型のテクニカル指標としての性格が強く、売買タイミングとして使う前提として、現在のトレンドを確認することが重要であると考えられます。現在の株価トレンドの逆張りタイミングで使うことが有効と考えられます。
上昇トレンドの場合であれば、RCIは有効な押し目買いタイミングを教えてくれる可能性が高く、逆に下落トレンドでは連続して下落する傾向があるため、買いタイミングを過信するのは危険であるということです。
また、売りタイミングで考えると、上昇トレンド中は連続して株価が上昇する傾向があり、RCIが高値圏で横ばいとなることもあるため、売りタイミングとしては別の指標を使った方がいい場合があるかもしれません。
銘柄ごとに株価が反転する数値を調べてみよう
一般的に、RCIは100%に近づけば売り、−100%(新ケンミレでは0%)に近づけば買いという使い方をされますが、単純にこの通りに使うことはお勧めではありません。前述のトレンドを合わせて判断すること、つまり銘柄の人気によって売買判断する水準が変わってくるからです。
投資家に人気の高い(上昇力の大きい)企業の株価が上昇したあとで下落した時は、調整した後に上昇すると考える投資家が多くなると考えられますので、RCIの数値も高くなります。逆に、投資家に人気の低い(上昇力の小さい)企業の場合には、投資家があまり関心を持たないためにRCIの数値も0%に近づきます。
つまり、銘柄ごとにテクニカル指標の過去の動きをチェックして、過去の上昇、下落に転換するタイミングの数値を見つけて参考に使うべきだといえます。
また、RCIは計算日数によって数値が大きく変わりますので、その計算日数を銘柄の株価の動き(最適化)することでより有効な使い方ができます。
その場合には、まず株価の山と谷がRCIの数値の山と谷と合うように日数を合わせます。そして、数値がどの程度下落したら株価が上昇に転じるのか、どの程度まで上昇したら下落に転じるのかを調べて使うとより勝率が高くなると考えられます。
以下のチャートをご覧ください。
このチャートは東証1部銘柄の2005年の日足チャートです。
上図はRCIの設定を一般的な9日間で設定しています。大まかな割安水準が把握できてはいるものの、RCIの数値が激しく動き、だましのケースも見て取れます。
下図は株価の山谷とRCIの数値の山谷を合うように日数を合わせたチャートです。RCIの計算日数は24日となりました。年4回と買いタイミングが少なくなりますが、その分だましも少なく、ほぼ割安水準での投資ができるタイミングが判断できたと考えられます。
投資スタンスにもよりますが、銘柄ごとに株価の山谷とRCIの数値の山谷を合わせることで、その後の下落リスクを減らすことができると考えられます。
RCIの数値がどの程度まで下落したら株価が下げ止まる株価に近づくかということを調べることで、より勝率が高くなります。
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