トップチャートに強くなろう「信用残から何がわかる? - チャートの使い方実践編」

チャートに強くなろう

第26回 チャートの使い方実践編 −信用残から何がわかる?

株式の取引の形態はおおまかに2つに分けることができます。
1つは自分の持っている投資資金を使って株式を買ったり、保有する株式を売ったりする"現物取引"、もう1つは証券会社から資金や株券を借りて株式を買ったり売ったりする『信用取引』です。

そしてこの『信用取引』を使って"今現在買っている取引残高の合計"を『信用買い残』といい、反対に"今現在売っている取引残高の合計"を『信用売り残』といいます。そして、信用買い残・売り残それぞれをあわせて信用残といいます。

この信用残の変化から、投資家がその銘柄に対してどのようなことを考えて売ったり買ったりしているのか、という『投資家心理』を読む取ることができるため、株価分析には欠かせない項目です。

今回は、株価に影響を与える信用残からどのような投資家心理が読み取れるのか確認してみましょう。

「信用残ってなに?」

信用残は正式には「信用取引残高」といい、信用取引を使って今現在売ったり買ったりしているそれぞれの取引の合計が信用残ということになります。

詳しくお話しすると、信用取引では通常6ヶ月以内に精算(決済)を行わなければなりません。そもそも信用取引自体、証券会社から資金を借りたり株券を借りて取引を行いますから、どちらの場合でも取引から6ヶ月以内にその取引を精算(決済)しなければならないということになります。

そして、信用取引と使った売買でまだ精算(決済)がおこなわれていない買い取引の残高を「信用買い残高」、売り取引の残高を「信用売り残高」と言い、それぞれ「買い残」「売り残」などと呼ばれます。

信用取引の決済方法には3つの方法がありますが、「反対売買」で決済するのが一般的です。

信用取引の決済方法
 「反対売買」:信用買いの場合は、売って決済する方法。信用売りの場合は買い戻して決済する方法。
 「現引き」  :代金を支払って信用で買い建てた株式を取得する決済方法。
 「現渡し」  :信用で売り建てた株式を受け渡す決済方法。

上記のように、信用取引をおこなってから6ヶ月以内に、「信用売りをしたなら"買い"」、「信用買いをしたなら"売り"」という"反対売買"によって決済がおこなわれます。

このため、「売り残」が増えるほど、反対売買にともなう買い注文につながることから、一般的には"「売り残」は株価の上昇要因となる可能性がある"と言われます。

反対に、"「買い残」は反対売買にともなう売り注文につながることで、将来の株価下落の要因となる可能性がある"と、一般的に言われます。

しかし、必ずしも「売り残」が増えれば株価が上がり、「買い残」が増えると株価が下がるという単純なものではありません。
なぜなら、株価の動きに関連して働く投資家心理が深く影響するからです。
グッドイシューのチャートでは、ローソク足のチャートと共に「信用残」の推移を折れ線グラフで見ることができます。

単純に信用残の数字を知るだけでなく、株価の動きと信用残の動きを一緒に見ることができるので、信用残の折れ線グラフと、株価を見ながら、信用残が株価にどんな影響を与えるのか、見ていきましょう。

「買い残」が増えると、株価はどう動く?

信用買いは、"今買って、6ヶ月以内に売って決算する"ことになりますから、「今後、 6ヶ月以内に株価が上がるだろう」という先高感を持った投資家が増えてくると「買い残」が増える傾向があります。

なぜなら、株価が上がり始めると「もっと上がる!」と考える投資家が多くなりますので、信用取引を使って買う投資家も増えると考えられるからです。

そして、その後も上昇が続くと、さらに「株価はもっと上がる!」と考える投資家が「買い」をおこなう反面、「ある程度上昇したから、そろそろ下がるだろう!」と考える投資家も増えてきますから、今度は信用取引を使って売りから取引を始める"空売り"が増えはじめ、その結果「売り残」も増えていきます。

買った後で株価が上がれば、投資家は利益確定のために反対売買による「売り」を行います。

このときに、「買いたい」という投資家以上に、「売りたい」という投資家が多ければ株価は下落しますが、「売りたい」投資家以上に「買いたい」という投資家が多ければ株価が下がることはありません。

なぜなら、「この先もっと上がる」と考える先高感を持つ投資家が、「そろそろ下げる」と考える投資家よりも多い間は、現物・信用取引双方の利益確定の売り注文を吸収するので、株価は下がらないということです。

つまり、先高感が続く間は、一般的に言われる"「買い残」が増えれば、株価が下がる"ということが必ずし起きるとは限らないということになります。

反対に、買った後に予想通り株価が上がらずに下がった場合には、信用取引の決済期日である6ヶ月以内に「"損失確定の売り"を行なう」か「決済期日まで"保有して、株価が上がるのを待つ"」といった動きがでます。

投資家はなるべく損失を出したくないと考えますから、損失確定をするよりは「期日を迎えるまで、上昇するのを待って、上がったところで売りたい」と考えます。しかし、期限内に株価が上昇しなかった場合には、決済期日が近づくと信用取引を精算をするための売り注文が増えることになります。

このため、株価が上昇して高値を付ける過程で信用取引の「買い残」が大きく増えた後、株価が上昇しなかったときには、6ヶ月後に信用買いの反対売買によるまとまった「売り」が出ることがあります。

この場合も、「売りたい」投資家以上に、「買いたい」投資家が多ければ株価が下がることはありませんが、「買いたい」投資家以上に「売りたい」投資家が多くなると、株価が下がることとなります。

「売り残」が増えると、株価はどう動く?

「売り」の場合は、信用買いとは反対に、"今売って、6ヶ月以内に買い戻して精算する"ことになりますから、「今後、株価が下がるだろう」という先安感があると「売り残」が増えるという傾向があります。

信用取引で「売り」をおこなった投資家は、思惑とおり株価が下がれば反対売買による「買い」をおこなうことで、利益を確定します。

しかし、「売り」を行ったものの、その後に株価が下がらなかったり、株価が上昇した場合には、損失確定するため反対売買の買いを入れて決済するか、期限の6ヶ月まで保有して株価が下がるのを待つことができますが、一般的には損失確定をおこなう投資家が多いようです。

なぜなら、信用取引の「売り」の場合は、損失が無限大に広がる可能性があるためです。 株式投資では、仮に買いから取引を始めた場合の最大の損失額は株価がゼロになったとき、つまり出資した額に限定されますが、売りから始めた場合には株価の上昇が続く限り、損失額は無限に膨らむ可能性があるからです。

このため、信用売り残高が増えてから株価が下がらなかったり、上昇した場合には、信用売りをしていた投資家は損失確定の買戻しを行なうため、株価が急騰することがあります。

貸借倍率をチェック!

投資家心理を踏まえて株価と信用残の動き見るときには、「貸借倍率」にも注目しましょう。 「貸借倍率」とは、 「買い残」を「売り残」で割った、比率です。つまり、買い残と売り残が同数の場合には、貸借倍率は1倍となります。

一般的に株式投資では買いから入る投資家がほとんどです。つまり信用買い残の方が多くなる傾向があり、貸借倍率は買い残が多いケースがほとんどです。(数値で言うと1倍以上の銘柄がほとんどということです。)

このような状況の中で、売り残が増加して貸借倍率が低下している銘柄は、『信用の取り組みがよい銘柄』ということで、買いを考えている投資家にとっては、投資する動機のひとつになります。

どうして投資する動機になるのかというと、信用買い残に比べて売り残が多い銘柄というのは、上昇したときには売り方の損失覚悟の買い戻しを誘います。したがって、貸借倍率の低い銘柄は上昇が大きくなればなるほど信用取引で売った投資家は損が大きくなり、高値で買い戻さなければいけなくなります。

このように、業績などに関わらず信用取引の需給を手がかりして「売り方の買い戻しを誘う」ことで株価が大きく上昇する場合、これを『踏み上げ相場』と呼ぶことがあります。

しかし、ここまで株価の動きと、買い残・売り残の動きを見てきてわかりますように、"必ずしも、買い残が増えると株価が下がり、売り残が増えると株価が上がるとは言えない"ものです。

このため、「貸借倍率」を見るときにも、数値だけでなく、株価水準がどの程度になると信用残が増えていたか?どのぐらい増えていたか?その後の株価の動きはどうなっていたか?といった"株価の動きと信用残高の増減のバランス"をローソク足のチャートと、信用残の折れ線グラフで見ることが大切です。

※グッドイシューのチャートでは貸借倍率の表示・非表示は、チャートの「設定」画面から簡単に行えるので、自分で計算して数値を求める必要はありません。

買い残と、株価の動きから抵抗ラインを見つけよう!

また投資家心理を踏まえて信用残の動き見てみると、「株価の上げどまりをチェックする」ことができます。

信用買いを行った投資家は、その後株価が上がれば利益確定売りを行えます。しかし、買ったあとに株価が下がってしまうと損になってしまうため、なかなか売ることができなくなってしまい、「買った株を売れずにもったまま」になってしまいます。

つまり株価が下落中に信用買い残が増加している場合、株価がその増加しはじめた株価水準を上回らずに下げ続けていると、「買い残」が増えた株価水準は「上値抵抗ライン」になる可能性があるといえます。

これは、買った後に株価が下がると「損失確定の売り」をおこなうよりも、「またもとの株価まで戻るまで待とう」という投資家がいるためです。

そのような投資家が多ければ多いほど、「その価格まで再上昇したときに売りに出される株数は多くなる」ことになりますので、信用残の推移をみて増加が顕著であればあるほど「強い抵抗ライン」になると言えます。

POINT

・「株価がまだ上がる」と考える投資家が多ければ、「今のうちに買っておこう」とする投資家が増え、買い残が増加する。逆に「株価がまだ下がる」と考える投資家が多ければ、「今のうちに売っておこう」とする投資家が増えることで、売り残が増加する傾向がある。
・信用残は、株価の動き(チャート)と見比べて推移を分析する。
・信用「売り」は、思惑が外れたときには損失が無限大に広がる。
・株価の下落途中で「買い残」が増えると、その後「買い残」が増えた価格帯は、上昇した際の『上値抵抗ライン』となる可能性がある。

いかがでしたか?

今回お話した「信用残」以外にも、株価はさまざまな要因を受けて動きます。つまり、株式投資で勝つ確率をアップするためには、「チェック項目を増やす」「知らない項目を減らしていく」ことが重要だということになります。

知っていることを1つずつ増やし、実際にチャートを使って練習することで実践で使える判断材料を増やしていきましょう。 グッドイシューのチャートでは、確認したい企業の「銘柄コード」(株式市場で、企業を特定するための固有の番号)か「企業名」を入力すれば、簡単に株価チャートを見ることができます。 銘柄コードがわからなくてもチャートを出せるので、知っている会社の名前を入れて、いろいろな企業のチャートを見てみましょう。


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