わかる株式用語
移動平均線とは(いどうへいきんせん)
まずはざっくり
ほとんどの株価チャートには、ローソク足や出来高の棒グラフのほかに、折れ線が描かれていると思います。この折れ線が「移動平均線」と呼ばれるものです。
■移動平均線の計算式
移動平均線は、一定期間の株価の終値の平均値をつなぎ合わせた折れ線グラフで表示されます。
例えば一定期間を5日にした場合、直近5日間の終値の合計を5で割ります。
1日目の株価の終値 70円
2日目の株価の終値 130円
3日目の株価の終値 100円
4日目の株価の終値 100円
5日目の株価の終値 110円
(70円+130円+100円+100円+110円)÷5=102円
このように営業日が1日進むごとに再計算されて、数字が出てきます。この数字を毎日、チャートの上に「点」で打ち、それをつなぎ合わせて折れ線にしているというわけですね。上記の例でいえば、5日間の平均値を出しているので5日移動平均線となります。
これだけは覚えよう!
一般的に日足チャートでは、5、25、75日といった決まった期間で見ることがあり、この期間の意味は5日=1週間、25日=1ヶ月、75日=3ヶ月です。もう少し長い期間を見る週足チャートでは、一般的に13週、26週の移動平均線が使われます。月足チャートでは12ヶ月、24ヶ月の移動平均線が使われます。
このことをふまえてチャートを見ると、違う期間で計算された2本の移動平均線がチャートに表示されていることが多いことに気づくと思います。日足チャートなら5日と25日が一般的です。この場合は、1週間の平均値と1ヶ月の平均値が同時に見られるようになっていると考えると、覚えやすいかもしれません。
■移動平均線の使い方
チャートには、一般的に短期と長期の2本の「傾き」の違う移動平均線が表示されるわけですが、どのように株価チェックに生かせばよいのでしょうか?
もっとも分かりやすいのが、移動平均線を一目見るだけで「トレンド」が確認できるということです。移動平均線が右肩上がりならば上昇トレンド、移動平均線が右肩下がりならば下降トレンドとなります。
短い期間の移動平均線は短期的な相場の流れを見る場合に利用し、長い期間の移動平均線は長期的な相場の流れを見る場合に利用します。
■移動平均線を使った売買タイミングの取り方
移動平均線が右肩上がりか、右肩下がりかで使い方が違ってきます。
移動平均線が右肩上がりで、株価が移動平均線の上側で推移しているときは、株価が下がってきてローソク足の下側が移動平均線にくっついたときが「買いタイミング」になります。
移動平均線が右肩下がりで、株価が移動平均線の下側で推移しているときは、株価が上がってきてローソク足の上側が移動平均線にくっついたときが「売りタイミング」になります。
もうひと頑張り!
また、移動平均線は、株の需給関係を表したものとも言えます。つまり、移動平均線は買っている投資家の平均と考えることができます。
25日移動平均線=25日間に買った投資家の買いコストの平均
移動平均線からローソク足が上に離れれば、株価が買いコストを上回っているということですから、離れれば離れるほど利益を確定したい投資家が増えると考えられます。
売る投資家が増えれば、株価が下落します。ただし、移動平均線が右肩上がりで株価が移動平均線の上側で推移していれば、投資家が強気の「上昇トレンド」ですので、株価が下落すれば買いたいと待っていた投資家の買いが入ります。また、買って持っていた投資家は株価が下がれば利益が減りますから、また上がるまで待とうという心理が働くこともあって売りが減り、株価は移動平均線付近で下げ止まるかたちになります。このため、株価が下がってきてローソク足の下側が移動平均線にくっついたときが「買いタイミング」になります。
下降トレンドの「売りタイミング」では、上記と反対のことがおきます。移動平均線が右肩下がりで、移動平均線の下にあった株価が上昇して移動平均線に近づくと、過去に買った投資家の買い平均値に近づくので戻り売りが出やすくなります。また、下降トレンドは損をしている投資家が早く損が出ている株を売ってしまいたい状態ですから、株価が戻ったときに売りたい投資家が増えるので、株価が上がってきてローソク足の上側が移動平均線にくっついたときが「売りタイミング」になるというわけです。