わかる株式用語
オプション取引とは(おぷしょんとりひき)
まずはざっくり
株式市場で使われるオプション取引は主に日経平均を対象としたデリバティブ取引を指します。
証券会社のホームページでは「先物オプション」としてセットで表示されていることが多いと思います。
*ここでは日経225オプションに限定して説明します。
日経225オプションとは、あらかじめ定められた期日(SQのことです)にあらかじめ定められた価格(権利行使価格)で日経平均を買い付ける、または売り付ける権利のことです。
オプションにはコールとプットがあり、コールは日経平均が値上がりすると価格が上昇する取引で、反対にプットは値下がりすると価格が上昇する取引です。
例えば、日経平均が先々上昇すると考えた場合、コールを買い思惑通り日経平均が上昇すれば、利益が出るという仕組みです。
これだけは覚えよう!
オプションにはコールとプットがありますが、この2つにはそれぞれ「買建」と「売建」がありますので、合計4種類の取引が可能となります。
4種類の取引を簡単に言いますと・・・
コールの買建:日経平均が上がると利益が出る取引です。
コールの売建:日経平均が下がるか横這いのとき利益が出る取引です。
プットの買建:日経平均が下がると利益が出る取引です。
プットの売建:日経平均が上がるか横這いのとき利益が出る取引です。
■オプションの買建
ここでは一番単純な買建について、実際の取引を例に考えてみます。
例えば権利行使価格9000円のコールオプションを100円で1枚買った場合の例を見てみましょう。
計算式は以下のようになります。
100円 × 1枚 × 1000 =100,000円 です。
(「1000」は、株でいう売買単位のようなものです)
この取引の意味は、9000円で日経平均を買う権利を得るために、100円(プレミアムといいます)で1単位を買ったということになります。
そして、そのために100,000円を支払ったということになります。
ここで、コールを買建するということは、先々満期日(SQ)までに日経平均が上昇すると考えたわけです。
▲思惑通り、日経平均が満期日(SQ)に9500円になったとすると、いくらの利益となるか計算してみましょう。
9500円-9000円(権利行使価格)=500円
500円 × 1 × 1000 = 500,000円が利益です。
しかし、9000円で日経平均を買うための権利を得るために、プレミアムを100,000円支払ってますので、
実際手にする利益は、
500,000円 - 100,000円 =400,000円となります。
▼今度は、思惑通りにはいかず、日経平均が8800円となってしまった場合の損益を計算してみます。
8800円 - 9000円(権利行使価格) = -200円
-200円 × 1 × 1000 = 200,000円の損失
最初に日経平均を9000円で買うための権利を得るために100,000円を支払ってますので、合計300,000円の損失となってしまします。
しかし、ここで思い出してほしいのは、オプションは権利の売買ということです。
上のような損失取引と成る場合、9000円で買う権利を放棄すればいいのです。
放棄すれば、最初に支払った100,000円の損だけで済みます。
つまり、オプションの買建は、損失を限定できる取引と言うことができます。
(上記の計算例は、手数料、税金などを考慮しておりません)
もうひと頑張り!
オプション取引は分かりづらいという話をよく聞きます。
「権利の売買」というところがすんなり頭に入ってこない原因かもしれません。
また、プットは下がると利益が出る取引と申しましたが、それをさらに「売建」すると言われると、「いったいどういうこと?」と混乱することが多いようです。
そこでオプション取引を誰にでも身近な「生命保険」を例に説明してみます。
生命保険契約というのは、普通、契約者(一般的に被保険者)が保険料を支払って、亡くなると保険金を遺族が受け取ることができる契約ですよね。
オプション取引もかなりこの仕組みに似ています。
オプション取引で買建する人 = 保険金の受取人
オプション取引で売建する人 = 保険会社(保険金を支払う)
権利の売買の対象となる権利行使価格 = 契約者(被保険者)
とすると理解しやすいと思います。
まず、オプション取引を保険契約にたとえるということは、オプション取引は「保険」としての意味合いがあるということです。つまりリスクヘッジですよね。
違うのは、オプション取引でお金(プレミアム)を支払うのは、保険金を受け取る人であるのに対して、保険の場合は保険契約者である点だけです(受取人が保険料を支払う契約もあるのですが・・・)。
結局、プットオプションを買建すると言うことは、下落に備えて「保険」に入るということになります。
これを生命保険に置き換えると、働き手がなくなっても生活を維持する(=相場が急落しても投資資金を維持する)ために、保険に入る(=プットオプションを買建する)ということになります。
ここで、オプションの「買建」をするということは、反対側には常に同じ権利行使価格で同じ量を「売建」している人もいることになります。
この「売建」している人が「保険会社」にあたります。
運悪く相場が暴落してしまったとすると、投資資金は減少します。このときリスクヘッジとしてプットオプションの「買建」という「保険」に入っていれば投資資金の減少をある程度回避できます。
一方「売建」した人は、プレミアム(保険契約でいう保険料)を受け取る代わりに、相場が急落した時は大きな損失を被る仕組みになっています。
(「大きな損失を被る」とは保険契約で言うと保険会社が受取人に保険金を支払うことに相当します。)