わかる株式用語
金融緩和政策とは(きんゆうかんわせいさく)
まずはざっくり
金融緩和政策とは、市場にお金が出回るようにして景気をサポートするために政府や中央銀行(日本であれば日銀)がとる金融政策のことです。
市場にお金がたくさん出回ると、その分お金を借りやすくなります。
景気が悪化してくると、銀行はなかなかお金を貸してくれなくなるので会社はお金を借りるのが難しくなります。でも不況だと業績が悪いので、会社はお金を借りたい...
会社がお金を借りられずに倒産した場合、取引先にも負債の影響があったり従業員は仕事がなくなったりするので、さらに不況が悪化してしまいます。
この負の連鎖を防ぐための措置として、金融緩和政策が行われます。
これだけは覚えよう!
一般的な金融緩和政策としては、『政策金利の引き下げ』があります。
『政策金利の引き下げ』が行われると、それにともなって銀行などの貸し出し金利も下がるので、私たちはお金が借りやすくなります。
そうすると市場でスムーズにお金の循環が行われるので、経済の流れがよくなって景気回復を促すという政策なのです。
でも、現在アメリカや日本はいわゆる『ゼロ金利政策』がとられており、政策金利が実質0%になっています。そのため、金利をこれ以上下げることができません。
『金利引き下げ』がこれ以上できなくても、景気が悪化してくると追加で金融緩和政策をとることが必要になります。
このための方法として『量的緩和政策』があります。
これは金利を下げる代わりに、政府や中央銀行が国債などの買い入れをすることで市場にお金を出回らせるという政策です。
市場にお金が出回ることで、お金を借りやすくなるので経済の流れがよくなるという仕組みになっています。
もうひと頑張り!
2012年10月に、アメリカで追加の金融緩和(=QE3)が行われるという観測記事が出ると、為替市場では史上最高水準まで円高がすすみました。
外国で金融緩和が行われて金利が下がると、為替にどんな影響が起こるのでしょうか?
金融緩和が行われると、その国の金利が下がります。
例えば、日本の金利が1%、米国の金利が5%になったとします。
すると、為替で投資をしている人たちは「米国にお金を置いておいた方が儲かるよな」「日本にお金を置いておいたら損をするな」と思います。
例えば1ドル100円だとして、
100万円を日本の銀行に預ければ、金利1%で101万円
100万円を1万ドルに替えて米国の銀行に預ければ、
金利5%で105万ドル→105万円になります。
米国に預けた方が儲かりますよね。
そこで、金利が下がった国の通貨が売られて、他国の通貨が買われるわけです。
日本の金利が下がれば、円安ドル高になります。
だから、その国の金融政策は為替市場を動かす大きな要因になります。
実際の世の中はもっと複雑ですが、基本の考え方として覚えておきましょう。