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時事戦略レポート
2007年12月20日(木曜日) 16時13分 更新
円安、利上げ観測後退でも株価上昇材料にならない理由
日経平均が昨日まで6日続落となり、再び15000円近辺の今年安値水準まで下落しています。本日の日経平均はなんとかプラスになって7日続落とはなりませんでしたが、値下がり銘柄は1300近くになりましたから、実質的には続落と見てもよい市場でした。
そして、今週に入ってからは今までには見られなかった動きが出ています。それは、円安と株式が連動しなくなっているということです。
日経平均にドル/円を上書きしたチャートを見ますと、先週までは綺麗に連動しています。特に日経平均は輸出企業の比率が高い指数ですので、為替の影響を受けやすいといわれていますから、今週の円安傾向には反応していないということになります。

現在の相場では『円高=株安』の図式がありますので、株価が大きく下落するときには円高になるという動きが見られています。
この背景には、金利の低い日本の円を借りて、金利の高い国に投資をするという『円キャリー取引』があるため、円安が世界的なリスクマネーの流動性を支えているということが指摘されています。
したがって、世界的なリスクマネーがサブプライム問題などの信用不安で縮小となると、円キャリー取引の解消となって円が買い戻されるので、『円高=信用不安』という図式になっているわけです。
また、円高は反対にいえばドル安ということですので、米国の景気が落ち込むとの見方が広がれば、『ドル安=米国景気後退』という流れが考えられます。つまり、円高ドル安は、信用不安と米国景気後退の悪材料を示して、株価が大きく下落する材料となっています。
ただし、ドル売りが景気後退につながるということと同じ様に、円が売られるということは日本の景気が不安であるということもあるといえます。
最近の相場では『円安=株高』という図式になっていましたが、これは輸出企業の為替差益が業績にプラス要因になるということはよくご存知のことだと思います。
しかし、日本の金利が長期にわたって低いため、円という資金を低金利で借りるための円売り(円キャリー取引)が円安を支えていたのであればプラス効果があるといえます。
一方で、日本の景気が悪化する見通しから円が売られるということは、日本売りということですので、株式市場にとっては良くないことだと思います。
今週に入って円安傾向になったわけですが、きっかけとなったのは先週末の日銀短観です。大企業の製造業業況判断DIが+19と前回の+23から4P下落し、市場予想も下回ったことで円売り材料となりました。
つまり、今までの円安が日本の金利が低いから円安ということから、日本の景気が悪いから円売りになった可能性が見られているということになります。日本の景気が本当によくて政治が安定しているのであれば、『円高、株高、金利高』となるのが経済の自然の流れだと個人的には思っていますから、『円安=株高』であると単純に考えられないと思います。
一方、本日は日銀の金融政策決定会合が開催され、現行の金融政策維持を全員一致で決定しています。最近では反対票(利上げ実施)を水野委員が入れていましたから、全員一致は久しぶりということになります。
水野委員が賛成に回った理由は定かではありませんが、国内景気の停滞や世界的な利下げムードが影響している可能性が考えられます。
この金融政策決定会合の結果から、しばらく利上げ実施が遠のいたことになりそうですが、『金利が上がらない=株高』ということでもないといえそうです。日銀は景気が良くないから金利を上げることができないと考えられるからです。
したがって、低金利、円安ということであっても株価上昇材料と楽観的には見ることができないといえます。もちろん、低金利であれば企業の資金繰りコストは低いですし、円安であれば為替差益がプラスになるメリットがあります。
しかし、国内景気が堅調であるという認識が低下しているのであれば、株式市場にとってはデメリットとなります。
現在の株式市場は、年末の換金売りもあることやクリスマス休暇で市場参加者が少ないという季節要因で下がっているという面もありますが、停滞した景気ムードが投資家に影を落としているのではないかと思います。
また、世界的な信用不安ということもあり、複雑に絡んだ材料で株式市場は動きますから、国内要因だけではないでしょう。ただ、個人的には日経平均の15000円割れはPERや配当利回りなどから見て売られすぎだと思いますし、同じように思う投資家も多いのではないかと思います。
しかし、株式市場が多くの投資家が思った方向と逆にいくこともよくあることです。バブル崩壊もみんなが高くなると信じて疑わないときに起きますし、大底もみんながもっと下がると思ったときに付けるものです。
つまり、将来がわからないから持ち株を減らし、リスクを取らないことでマネジメントすればよく、専門家でもわからないことをわかろうとしても無理だと開き直って、株式市場の動きで判断するしかないと思った方が、冷静に投資ができるのではないかと思います。
レポート担当 市原義明
今回の内容はこれで以上です。